4/16/2011

Samuel Beckett - Endgame



1957年にロンドンで初上映されたサミュエル・ベケット作のエンドゲーム
舞台は(ベケットは否定していますが、恐らく)核戦争後のある場所。ある部屋。
そこで繰り広げられるのは不毛で可笑しなやり取り。やっと口を開いた役者が言うせりふは、
"Finished, it's finished..."
もう終わった世界。希望も無く、外の世界には自分たちのほかにもう何も無いかもしれない。
変わり映えのしない最悪の毎日が続き、未来に何があるかも分からない。
"Nothing is funnier than unhappiness."

この作品でも、他のベケットの作品に特徴的な「繰り返し」「連続性」「不幸」「笑い」がテーマになっていて、それは現代に生きる人間、特に今の日本においては不思議なくらい現実感があるのではないでしょうか。これは岡室美奈子先生もおっしゃっていた事で、震災が起こり、原発が放射能の恐怖を撒き散らし、安心安全の国だった日本が不安に駆られているこの状況に、ベケットの作品はリアリティーを持って感じられるような気がするのです。

ベケットの作品は基本的に"unhappiness"を描いているわけですが、そこにはある意味の希望も描かれていると思うのです。何も起こらない日常。日々の繰り返し。でも明日は何かがあるかもしれない。それは絶望でもあると同時に希望でもあって、なぜならそこに「人間」が存在しているから。繰り返しのルーティーンは突然崩れるかもしれない。

というわけで、こういう時期だからこそベケットが見たいなーって思ったわけです。
そしてそんなときに日本ではちょうどベケットを演っている訳です!しかもゴドー
もう既に始まっていて、公演最終日が5/1のようです。日本にいる方はぜひ!
うーん。帰国したらベケットを日本語で観てみたいなぁ。希望の芝居を。楽しみです。

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Maira Gall